指を折って数える数は自然数です。一方、分数や小数、無理数、虚数などは人工数です。人工数に比べて自然数は単純な数のようにも思えますが、実はとても興味深い数なのです。
 2月22日に行われたセミナーでは、ほんの一部ではありますが、自然数の楽しい世界を旅することができました。


 まず自然数を順に足しますと、きれいな数列になります。       1+2=3
                                          4+5+6=7+8
                                     9+10+11+12=13+14+15                         

 自然数のうち小さい順に1と2と3の三つを使った二桁の数、12,13,21,23,31,32の六種類を足してみます。
                        12+13+21+23+31+32=132
 和も1と2と3を使った三桁の数になりました。このような特別な関係にある1と2と3は「遺伝子数」です。


 1、2、3の次の自然数4を使いますと、様々な自然数が表せます。    4÷4+4−4=1
                                               4÷4+4÷4=2
                                              (4+4+4)÷4=3            このような数式を「四つの四」と呼びます。


 次に6の約数は、1と2と3と6の四つあります。     1+2+3=6  
 約数を足していきますと、一番大きな約数、つまりもとの数になっています。6以外では28でも成り立ちます。
                                     1+2+4+7+14=28
 6や28など、約数全てを使って数式をつくることができる数が「完全数」です。

 
 220の約数を足していくとどうなるでしょう。  1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284         
 では、284の約数を足してみましょう。       1+2+4+71+142=220                          
 約数を1から順に足して互いの数になる関係は、「友愛数」とか「親和数」と呼ばれています。


 48の約数を、1を除いて足します。    2+3+4+6+8+12+16+24=75                   
 この75の約数も、1を除いて足します。    3+5+15+25=48                            48と75は、1以外の約数の和がそれぞれの数になっています。このような関係は「婚約数」です。


 1と2と3を、二つか三つずつ使って式をつくってみます。
                          1×1×2×2×3×3=36
                   1×1×1+2×2×2+3×3×3=36
                        (1+2+3)×(1+2+3)=36
                        (1×2×3)×(1×2×3)=36
 いずれも36になりました。この36は、1から8までの自然数の和でもあり、1から11までの奇数の和でもあります。
                     1+2+3+4+5+6+7+8=36
                           1+3+5+7+8+11=36  
 この36は「聖なる数」と呼ばれています。

  
 1から聖なる数36まで足します。       1+2+3+4+………+34+35+36=666               
 素数を二乗し、順に2から17まで足します。 22+32+52+72+112+132+172=666                
 1から9までの数を使って足します。              1+2+3+4+567+89=666
                                        123+456+78+9=666
                                       9+87+6+543+21=666               
 いずれも666になりました。


 一年には春、夏、秋、冬の四季があります。それぞれの季節が十三週として、うるうの1日を足します。
                          4×7×13+1=365
 一年の365日になりました。
 トランプには、クローバー、スペード、ダイヤ、ハートの四種類があり、それぞれ1から13まであります。さらに、ジョーカーを一枚付け加えます。              
               (1+2+3+4+5+6+7+8+9+10+11+12+13)×4+1=365
 一月と偶数月を、二乗して足します。      12+22+42+62+82+102+122=365                
 十月、十一月、十二月を二乗して足します。 102+112+122=365                          
 この365は「神の数」と呼ばれています。


 先の「四つの四」にならい、8を八回使って式をつくります。(8+8)×(8×8×8−8)÷8−8=1000
                                               8+8+8+88+888=1000
                                                 (8888−888)÷8=1000         
 「八つの八」は1000でした。


 1000の次の自然数1001もおもしろい数です。連続する素数の積ですし、1から6まで三つずつ使った和になっています。                         7×11×13=1001    
        1×11+2×22+3×33+4×44+5×55+6×66=1001
 また任意の三桁の数を並べた六桁の数を1001で割ると、もとの数になります。
        @ 987
        A 987987
        B 987987÷1001=987
 この1001は、『千一夜物語』にちなんで、「シェヘラザーデ数」と呼ばれています。
 シェヘラザーデが物語を毎晩語り続けても尽きなかったように、自然数の話題も、素数、回文数、巡回数、レピュニット数…と尽きることはありません。英語の thousand and one が「無数」を意味するように。



シェヘラザーデ数